コミュニケーションの場でよく聞く「フィードバック」と「アドバイス」。
どちらも“相手に何かを伝える”という点では似ていますが、実は意味や目的、使い方が大きく違います。
この違いを知っていると、伝えたいことがもっとスムーズに伝わりますし、相手との関係づくりにも役立ちます。
フィードバックとは?
フィードバックは、相手の行動や成果について「客観的な視点から」情報や感想を伝えることです。
目的は、相手に自分の現状を振り返ってもらい、気づきを得てもらうこと。そこから成長や改善につなげてもらうためのものです。
フィードバックは「ただの指摘」ではなく、良いところを認めることも含まれています。
だからこそ、感情的にならず、できるだけ事実に基づき、相手が安心して受け取れるような伝え方もポイントです。
たとえば、
「この部分はとても分かりやすかったよ」と良い点を伝えたあとに、「ただ、ここで使った数字の出典が少し曖昧だったかもね」と改善点を伝える。
これが典型的なフィードバックの例です。
アドバイスとは何か
一方でアドバイスは、相手が直面している問題や課題を解決したり、目標を達成したりするために、自分の意見や提案を具体的に伝えることです。
アドバイスは「こうしてみたら?」「こうすると良いよ」と、やり方やコツを教え、相手が行動に移せるように、ヒントを渡すことが目的です。
たとえば、プレゼンの声量を増やしたいと相談された場合、「日常的に腹式呼吸の練習を取り入れると効果的だよ」というように具体的な方法を伝えるのがアドバイスです。
両者の違いを理解する
フィードバックとアドバイスは、一見似ていますよね。しかし、その役割や伝え方には違いがあります。
フィードバックは、相手の行動や結果について「情報」を伝えます。そして、相手が自分で考えて行動を変えるきっかけを与えるもの。
アドバイスは、経験や知識をもとに「こうするといいよ」と具体的に提案すること。
選択肢を示して、次の行動につなげる役割があります。
使い分けるポイント
上司と部下のやり取りでも、上司はつい、感想も言わず、言いたいことだけを言うような中途半端なフィードバックになってしまうこともありますが、コミュニケーションでは、フィードバックとアドバイスはセットで使うことを意識してみてください。
まずはフィードバックで現状の良い点や課題を伝え、その後にアドバイスとして改善のための具体策を伝える流れが部下としても素直に受け入れやすいかと思います。
ただし、相手の状況や受け取り方をよく観察し、タイミングや言い方を相手に合わせてください。
相手が落ち込んでいたり自信を失っているときに、いきなりアドバイスを押しつけるとかえって逆効果になることも。
その場合は、まずはフィードバックで相手の努力や成果を認めて、気持ちを受け止めることが先です。
伝わるコミュニケーションのために
どんな場面でも、相手が安心して話を聞ける雰囲気づくりが大切です。
伝える側が、相手の立場や気持ちを想像しながら話すことで、伝えたい内容が自然と届きやすくなります。
また、伝えたあとも大事です。相手の反応をよく観察し、必要があれば補足したり、疑問点に丁寧に答えると安心感があり、素直に聞きやすくなります。
フィードバックもアドバイスも、一方通行ではなく「キャッチボール」のようにやり取りすることが大事。
その意味や使い方を理解して、状況に合わせてうまく使い分けることで、伝わるコミュニケーションがぐっとラクになります。
ぜひ、この違いを意識して、普段のコミュニケーションをもっと心地よくしていきましょう。