「他社と差別化できる特別なサービスがない」「価格も普通、内容も普通、どこにでもある会社だと思われている気がする」……そんな悩みを持っている方は、意外と多いです。
特にWeb制作や士業、コンサルティングなどの業種では、提供しているサービス自体はどこも似たようなものになりがちです。
「ホームページを作ります」「税務申告をサポートします」「経営の相談に乗ります」と言っても、同じようなことを言っている会社は山ほどあるので、「うちだけの武器がない」と感じてしまうなんてよくある話です。
でも、少し視点を変えてみてほしいんです。お客さんが「この会社に頼もう」と決める瞬間、本当にサービス内容だけを見て判断しているかというと、実はそうではないことが多いんですよね。
人は「サービス」より「人」を買っている
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、ビジネスの現場では「何を買うか」より「誰から買うか」で決まることが、驚くほど多いです。
同じ価格帯で同じような内容のサービスが並んでいたとき、最後の決め手になるのは「なんとなくこの人が好きだな」「話しやすかった」「ちゃんと自分の話を聞いてくれた」という感覚ですね。
感情的な話に聞こえるかもしれませんが、ビジネスの意思決定において感情はものすごく大きな役割を果たしています。
特に、サービスの中身がわかりにくい業種ほどこの傾向は強くなります。
専門的な内容であればあるほど、お客さんは「内容の良し悪し」を判断しにくいので、「この人なら信頼できそう」という直感に頼るしかなくなるんです。
つまり、サービスに差がないなら、「人」で差をつけられるということです。
「覚えてもらえる人」には共通点がある
では、特別なサービスがなくても「あの人に頼もう」と思われる人には、どんな共通点があるのでしょうか。
まず一つ目は、話したことを覚えてくれることです。
前回の商談で「子どもの受験が大変で」と話したことを、次に会ったとき「その後どうでしたか?」と聞いてくれる人。
ビジネスとはまったく関係のない話なのに、ちゃんと覚えていてくれたという体験は、強烈に印象に残ります。
二つ目は、役に立つ情報をさりげなく届けてくれることです。
「この前おっしゃっていた件に関係しそうな記事を見かけたので」と送ってくれる一通のメール。
押しつけがましくはないけれど、「あなたのことを考えていましたよ」というメッセージが伝わるこういった行動は、じわじわと好感度を上げていきます。
三つ目は、断ることを恐れないことです。
「それはうちより○○さんに頼んだほうがいいと思います」と正直に言える人は、かえって信頼されます。
自分の利益より相手のことを考えてくれているという印象を持ってもらえるからです。
「一貫したキャラクター」が最強の差別化になる
マーケティングの世界では「ブランディング」という言葉がよく使われますが、個人や小さな会社レベルで考えると、ブランディングとはつまり「一貫したキャラクター」を持つということだと思います。
「この人といえば○○だよね」という印象を持ってもらえると、それだけで覚えてもらいやすくなります。
「いつも返事が早い人」「話がわかりやすい人」「なんでもズバッと言ってくれる人」「丁寧すぎるくらい丁寧な人」……どんなキャラクターでも構いません。
大切なのは、それが一貫していることです。
会うたびに印象が変わる人より、「あの人はいつもこうだよね」と言える人のほうが記憶に残りやすく、紹介もされやすいものです。
特別なサービスがなくても、「あなたらしさ」という唯一無二のものを持っているだけで、それが立派な差別化になっているのですが、自分では気付きにくく、全面にアピールしにくいことでもあるため、表面に出にくいかもしれません。
HPやSNSで「人柄」を伝えることの大切さ
ここで少しWeb的な話もしておくと、特別なサービスがない会社ほど、HPやSNSで「人柄」や「姿勢」を伝えることが重要になってきます。
サービス内容のページに「高品質なホームページを制作します」と書いても、競合他社も同じことを書いています。
でも、「どんな思いでこの仕事をしているか」「どういうお客さんと一緒に仕事をしたいか」「失敗したときにどう対応するか」といった話を書いているページは、意外と少ないんですよね。
SNSも同じで、完成した仕事の報告だけでなく「今日こんなことで悩んだ」「お客さんからこんな言葉をもらって嬉しかった」といった人間的なエピソードを発信することで、「なんかこの人好きだな」という感覚を持ってもらいやすくなります。
人柄が伝わるコンテンツは、サービス紹介よりずっと記憶に残るんです。
「また会いたい」と思われることがゴール
売れ続けている人や会社の共通点として、「リピートと紹介で仕事が回っている」というものがあります。
毎回新しいお客さんを探さなくても、既存のお客さんがまた来てくれてさらに知人を連れてきてくれる。
この循環ができると、営業にかけるコストと労力が劇的に減ります。
この循環を生み出すのに必要なのは、「また会いたい」と思ってもらえることです。サービスが完璧である必要はありませんし、多少のミスがあっても「あの人は誠実に対応してくれる」という安心感があれば、お客さんは離れません。
むしろ、困ったときの対応こそが信頼を深めるチャンスになることも多いです。
「また会いたい」と思われる人は、特別なスキルで勝負しているわけではありません。もちろん、製品の良さや技術力は大前提の上でのプラスの話です。
連絡をこまめにする、話をちゃんと聞く、約束を守る、感謝を伝える。そういったシンプルなことを丁寧に続けている。この誠実さは日常からにじみ出てくるものです。
「普通」を武器にするという発想
「特別なサービスがない=弱み」という考えではなく、「普通だけど、ちゃんとしている」というのは、実はかなり強いポジションです。
奇をてらったことはしないけど、連絡はすぐ来るし、言ったことはやってくれるし、話しやすい。
そういう会社って、長く付き合いたくなりますよね。
華やかさや話題性は最初の注目を集めるには効果的ですが、長続きするビジネスを作るのは地道な信頼の積み重ねです。
「普通だけど、信頼できる」は派手なキャッチコピーにはなりませんが、長い目で見ると最強の武器になります。
特別なサービスがなくても、覚えてもらえて、選んでもらえて、また来てもらえる。そのための答えは、意外と身近なところにあるのかもしれません。