インターネットが普及する前と後では、消費者の意識や行動に大きな変化があり、流れが変わってきました。さらに1人1台のスマートフォンを持つ時代になり、SNSの普及により、さらに消費行動の変化が加速しています。
消費者は商品を購入するまでに何を考え、何を参考にして意思決定をするのでしょうか。
マーケティングを考える上で、時代とともに変化してきたこと、過去を踏まえて今後はどうなっていくのか、考えてみましょう。
インターネットが普及する前(~2000年頃)
インターネットが普及する前、消費者の購買行動を促す要因となったのは、マスメディアでした。新聞、雑誌、街中の広告から始まり、テレビ、ラジオで商品の宣伝が行われるようになりました。
この時代は、商品情報に関して消費者が探求心を持っても調べることができず、企業側から消費者へ一方通行の宣伝方法でした。
1920年、アメリカで提唱された購買行動モデルでは、消費者が購買までの流れを5つに分類した「AIDMA」が有名です。
Interest(関心)・・・商品に興味、関心を持つ
Desire(欲求)・・・商品が欲しいな、手に入れたら満足しそう
Memory(記憶)・・・商品が欲しい気持ちを記憶しておく、後で買おう
Action(行動)・・・実際に商品を購入する
インターネットが普及した後(2000年代)
人々がインターネットを使い始めたことで、消費者が積極的に商品について検索をすることができるようになりました。5つに分類した「AISAS」です。2004年に、この購買行動モデルを電通が提唱し、商標登録されました。
Interest(関心)・・・商品に興味、関心を持つ
Search(検索)・・・インターネットの検索エンジンを利用し、購入決定するための情報を得る
Action(行動)・・・実際に商品を購入する
Share(共有)・・・購入した商品の感想をインターネット上で共有する
SNSの普及により、さらに変化
スマートフォンを利用する人が多くなり、SNSを使うことによってさらに購買行動モデルに変化が現れました。「SIPS」と言われています。
Identify(確認)・・・商品が自分にとって必要か、有益か調べる
Participate(参加)・・・商品を購入したり、購入しなくてもリツイートや「いいね!」をすることで販促活動に参加する
Share & Spread(共有・拡散)・・・SNSを使った活動や拡散した情報によって次の共感を生み出す
SIPSでは、ある情報を知り、参加・購入しようと思っていたが実際にしなかった(もしくは実際に購入した)、そしてSNS上でリツイートやいいね!をしたことでプロセスに参加し、その共感が次の人へつながっていくというモデルです。
循環していくことで、参加者が増え、購買へつながる人数が増えていくという仕組みです。
企業が意識すること
消費者の行動は、このように大きく変化しています。企業側はこの仕組みを意識していなければ、ずっと一方通行のまま消費者へ働きかけているだけかもしれません。
消費者は探求心から能動的に調べる手段を使って情報を得ようとします。さらに商品情報だけでなく、さらなる付加価値を求めたり、口コミで購入決定を検討し、納得してから購入します。
逆に消費者の行動から何を求めているのかを拾い上げ、消費者のニーズに応えていくやり方をしている企業もあります。
時代とともに変化している消費者の行動モデルをよく知ることで、商品の生産、宣伝を考える必要がありそうですね。