商品やサービスを考える際、ユーザーとなるターゲットを決めます。具体的な人物像であるペルソナを設定し、どのような人がいつ、どのような状況で購入するかなど、様々なシチュエーションを考えて設計していきます。
効果的なビジネス戦略を考えるためには、様々なデータがとても重要であり、AIの活用も目覚ましい進歩ですが、人の思考から生まれるものです。
しかし、自分が今まで育ってきた環境、今置かれている環境しか視野にない、データーパターンが少ない、サービスを受ける人の立場の想像力が乏しければ戦略が成り立ちません。
単に成功データに基づいて最適なものを決定するだけでは他社との差別化にはならず、ユーザーが本来求めていることからもずれていく可能性があります。
やはり、サービスを提供するからにはユーザー目線が第一です!
その視野を広げるためにも、ユーザーを知ること、さらにユーザーの「メンタルモデル」を分析し、深く理解することが重要です。
メンタルモデルとは
メンタルモデルは過去に経験してきたこと、知識や信念、文化的な背景が土台となって誰もが無自覚に持っている思い込みや価値観をいいます。
違う人が同じ状況下に置かれたとき、気持ちの受け止め方、その後の行動が変わってきます。
例えば、観覧車に乗った時
・見晴らしがよくて楽しい
・高いところに連れていかれるなんて恐怖でしかない
・狭い空間が苦手
など、感じ方に違いがあります。観覧車に乗った後の影響も感じ方次第で「次も楽しむ」「恐怖を引きずる」「嫌な思い出になる」など、心に残るものや行動は様々です。
自分は「観覧車=楽しいもの」というメンタルモデルだとしても、他の人が同じではないということを常に考える必要があります。
また、多くの人が小さいころからの習慣が影響するメンタルモデルでは、でトイレの表示の色分けは男性が青色、女性が赤色という認識があり、これを逆にしてしまうと混乱が生じてしまいます。
多様な時代とはいえ、商品開発やサービスにおいて混乱を招くような表示は避けるべきですよね。
一般的に知られていることばかりではありません。世の中のこと1つ1つに背景があるということなのです。
ビジネスで活用されているメンタルモデル
メンタルモデルは認知心理学の言葉ではありますが、ビジネスの世界でも活用されています。
人は、状況判断や解釈をする際、何か基準とするものがあります。その土台となっているのがメンタルモデルであり、ターゲットとなるユーザーを分析し、理解することでビジネスの幅を広げることができます。
・ユーザーがスマートフォンを操作する際のメンタルモデルを理解することで、インターフェースを直感的で親しみやすいものにすることが可能
・新製品を市場にだす際、メッセージをより魅力的に伝えることができる
・ユーザーがお問い合わせサポートを利用する際のサポートプロセスの設計
・社員の人材育成においてトレーニングプログラムを考える
など、新しい開発だけでなく、問題解決やコミュニケーションの改善にも役立ちます。
メンタルモデルは変化する
メンタルモデルは固定されたものではなく、新しい情報や経験によって変化するものです。自分が「これは嫌だ!」と思ったものでも、異なるメンタルモデルを知ることで新しい挑戦や自己成長の機会に触れて、価値観が変わるきっかけになるかもしれません。
自分自身のために多くのメンタルモデルを知る、ビジネスとしてユーザーのメンタルモデルを分析して活用する…少し視野を広げてユーザーとの共感を築くための鍵を探してみてください。