今の時代、多くの会社やお店がWebサイトを持っています。メンテナンスされているサイトでなければ検索順位が下がってしまうというのもありますが、デザインが整い、情報もきちんと掲載されています。
しかし、なぜか強く印象に残るサイトと、そうでないサイトがあると思いませんか。
この違いは、見た目の美しさだけで決まるのではなく、見た人がサイトに感じる「温度感」のようなものかもしれません。
具体的には、訪問者が「この会社は誠実そう」「このお店は親しみやすい」といった感情を自然に抱くといったようなことです。
たとえデザインがシンプルでも、言葉の選び方や写真の雰囲気、構成の仕方から「人の気配」が伝わると、それだけで信頼感が生まれます。
情報を詰め込むほど、心は離れていく
よくあるのが、「せっかくのWebサイトだから全部伝えたい」と、サービス内容や実績を情報過多になるほど載せてしまうケースです。
ただ情報を羅列しただけでボリュームだけ増やしたとしても、制作者の“気持ち”は読み手に届きません。
読書感想文なども、原稿用紙の枚数が多ければよいというものではなく、どう自分が感じたのか、相手に何を伝えたいのか、量ではなく質ですよね。
Webも同じで、読む人は、自分に関係があるかどうかを数秒で判断します。
その短い時間で「この人(会社)は自分のことをわかってくれそう」と思ってもらうには、文章や構成に温度を感じさせる工夫が必要になります。
具体的なメッセージの工夫
すごい文章を目指す必要はなく、ちょっとだけ手を差し伸べる感じでお客様を主体とした文章を追加するだけで印象が変わります。
Before: 「私たちは○○を提供しています」
After: 「お客様が困っていた△△を、□□の形で解決しています」
“自分たちが何をしているか”ではなく、“誰のどんな悩みを解決しているか”を伝えることで、「自分ごと」として読み手の心は動きます。
写真や色にも「声」がある
このような「感じるもの」は文章だけでなく、デザインにも表れてきます。
同じ商品を紹介していても、背景色や写真の明るさ、人物の表情ひとつで受け取る印象は大きく変わります。
冷たいグレーや黒が多いサイトは、クールでスタイリッシュに見える一方で、少し距離を感じさせることもあります。
一方、やわらかいトーンや自然光の写真を使うと、安心感や親しみを伝えられます。
サイトの目的やターゲットによって、読み手がどんな感じ方をするだろうかということを意識し、最初に「安心」「信頼」「わかりやすさ」など、大事にしたい印象を決めておくと、デザインの方向性がぶれず、統一性のあるサイトを制作することができます。
「らしさ」が残る、書き手の姿勢
デザイナーやライターが工夫しても、発信者自身の姿勢が曖昧だと、サイト全体のトーンもぼやけてしまいます。
一番大切なのは「自分たちはこういう気持ちでやっている」という芯を持つこと。
「うちはこういう想いで仕事をしている」「お客様にはこんなふうに喜んでもらいたい」
こうした核となる想いを飾らずに言葉にすることで、Webの向こうにいる人へ制作者の気持ちが伝わります。
情報の時代だからこそ「温度」で差がつく
人の心は、合理的な説明よりも「感じる何か」に動かされるものです。
“整っている”だけのサイトから、“伝わる”サイトへ。
その違いを生むのは、ほんの少しの気づかいと、発信者の強い想いです。
Webサイトは、企業やお店の顔であると同時に、人と人をつなぐ入口でもあります。
訪問者の心に“あたたかさ”“人間らしさ”を残せるサイトを目指していきたいですね。