仕事の打ち合わせで、「なんとなくこんな感じで」「うまく言えないのですが」と言われた経験はありませんか。
Web制作に限らず、企画や相談の場では、要望がはっきりしていない状態で話が始まることはよくあります。
「なんとなくと言われても、困るなぁ」と思うかもしれませんが、相手が悪いわけではなく、頭の中でまだ整理できていないだけ、という場合がほとんどです。
イメージはあるけれど、言葉にすると違和感がある。考えている途中なので、まだ形になっていない。そんな段階で相談が始まることも多いものです。
この「なんとなく」をどう受け止め、どう具体的にしていくか。
ここから仕事の進み方は、大きく変わっていきます。
要望は最初から整っていない
「目的は何ですか」「ターゲットは誰ですか」と聞いて、すぐに答えが返ってくるのであれば、具体化していくスピードは速くなります。
ただ、実際の打ち合わせでは、意外と即答できず、話しながら考えていく人もいます。
言葉にしてみて初めて、「あ、違うかも」「本当はそこじゃないかも」と、一度外に出してから気づき、整理をしていくという流れが多くあります。
だからこそ、相手を誘導するときに最初から正解を求めすぎると、会話が止まりやすくなってしまいます。
相手は「ちゃんと説明しなきゃ」「うまく言わなきゃ」と身構え、言葉が出てこなくなってしまうことにもなりかねません。
会話が前に進む人の共通点
仕事がスムーズに進む人を見ていると、説明が特別うまいというより、場の空気の作り方が上手だと感じます。
話が途中で止まっても急かさず、話が行ったり来たりしてしまっても否定しません。
「まだまとまっていなくて大丈夫ですよ」
「一回、思いつくまま話してもらってもいいですよ」
そんな一言があるだけで、相手は少し安心します。
安心できると、頭の中にある断片的な情報が、少しずつ外に出てきます。それを汲み取ってキャッチしていく役割が求められます。
その結果、最初は曖昧だった要望が、少しずつ形になっていく。
これは特別な技術ではなく、相手の話を途中で切らない、評価を挟まない、といった小さな積み重ねなのかもしれません。
Web制作は「整理する仕事」でもある
Web制作というと、デザインやコーディングに目が向きがちですが、実際には「考えを整理する時間」がかなりの割合を占めます。
ヒアリングや打ち合わせの中で、情報を整理し、優先順位をつけ、方向性を見つけていく。これは制作の土台になる大切な工程です。
クライアントの頭の中にある断片的な思いを、言葉として並べ替えていく。
「それはつまり、こういう意味ですか?」
「今のお話だと、ここが一番大事そうですね」
そんな確認を重ねることで、少しずつ輪郭が見えてきます。
このとき大切なのは、完璧な答えを早く出すことではありません。
話が行ったり来たりする時間を、無駄だと思わないことです。
その遠回りがあるからこそ、完成後の「思っていたのと違う」を減らすことができます。
つい急いでしまうときこそ
忙しいと、「結論だけ教えてください」と言いたくなる瞬間があるかもしれません。
効率を考えれば、気持ちとしては自然です。
ただ、その一言で、相手は話す意欲を失ってしまうこともあります。
「うまく言えない自分が悪い」と感じてしまい、本当は伝えたかったことを飲み込んでしまうかもしれません。
少し立ち止まって、相手のペースに合わせる。
完璧な言葉を求めず、途中の話も受け止める。
その余白を作ってあげるだけで、案外、会話は進みやすくなります。
結果的には内容が整理され、認識のズレも減り、トラブルの予防にもつながるのではないでしょうか。
「なんとなく」を大切にする
「なんとなく」という言葉の中には、本音や大事な感覚が隠れています。
違和感や好みとして存在しているものを言葉で説明できないだけです。
それを雑に扱わず、ゆっくり言葉にしていく。
「まだ言葉になっていない部分も含めて、大切にする」
そんな姿勢が、信頼を生み、良い仕事につながっていきます。
はっきりしていない話ほど、丁寧に向き合う。その積み重ねが、「またお願いしたい」と思われる理由になるのかもしれません。