仕事では、「できれば失敗しないように進めたい」と思いますよね。
特に、時間やお金が関わる案件ほど、その気持ちは強くなりがちです。
最初にしっかり決めて、あとは予定通りに進めたい。
ただ現実には、途中で状況が変わったり、考えが変わったりすることがよくあります。
関わる人が増えたり、環境が変わったり、実際に形が見えてきて初めて気づくこともあります。
そのたびに「最初に決めた通りに進めなければ」と無理をすると、仕事は少しずつ苦しくなっていきます。
修正したい気持ちはあるのに、言い出しにくい。戻りたいけれど、戻れない。
そんな状態が続くと、心にも余裕がなくなってしまいます。
アジャイルという考え方は、ここを少し違う角度から捉えます。
失敗しないことより、やり直せることを大事にする。
前提そのものを変えてしまう考え方です。
「間違えない前提」が仕事を重くする
最初に完璧な計画を立てる進め方では、途中の修正がどうしても難しくなります。
一度決めたことを変えるには、理由を説明し、関係者に伝え、場合によってはスケジュールも組み直さなければなりません。
その結果、
「少し違う気がするけど、このまま進めよう」
「今さら言い出しにくい」
そんな判断が増えていきます。
失敗を避けようとするあまり、違和感にフタをしてしまう。
限られた時間の中では、よくある話です。
ただ、その小さな違和感を積み重ねた先に、大きな手戻りが待っていることも少なくありません。
アジャイルは「失敗してもいい仕組み」
アジャイルな進め方では、途中での修正が前提にあります。
最初から完璧を目指さず、小さく作り、途中で確認し、必要なら直す。
この流れが、あらかじめ仕事の中に組み込まれています。
Web制作でいえば、完成してから初めて見せるのではなく、途中段階で共有します。
デザイン案のラフ、ページの一部、構成だけの状態など、まだ未完成なものを見てもらいます。
その時点で出てくる
「思っていたのと少し違う」
「ここはもう少しこうしたい」
という声は、失敗ではなく、むしろ、早く気づけたサインになります。
完成してから言われるより、ずっと前向きで、トラブルになりにくいですよね。
やり直せると思えると意見が出やすくなる
やり直しが前提になると、場の空気も変わってきます。
「完璧な意見を言わなければならない」という緊張が減るからです。
クライアントも、チームメンバーも、
「とりあえず今の考えを出してみよう」
「あとで変えられるなら、話してみよう」
と思いやすくなります。
意見が早く出ると、方向修正も早くなり、遠回りしているようで、実は無駄が少ない進め方になるわけです。
また、「言ってもいい空気」があることで、問題が表に出やすくなります。
小さな違和感の段階で共有できるのは、大きなメリットですし、より良いものがうまれます。
スピード重視ではない
大切なのは、立ち止まれるゆとりがあること。
違和感を感じたときに戻れる。
考え直したくなったときに方向を変えられる。
このゆとりがあることで、仕事はずっと健全になります。
無理に突き進まず、必要なときにブレーキをかけられる。
それが結果的に、質の高いアウトプットにつながっていきます。
スピード感はないかもしれませんが、スケジュールの段階から意識をしていれば、逆に時間のロスが減るというメリットもあります。
安心してやり直せる仕事へ
アジャイルのやり方は、効率を上げるためだけの方法ではありません。失敗や迷いを、責めずに扱うための考え方にもなります。
最初から正解を出そうとしない。途中で変えてもいいと思える。やり直せる前提で進める。
この姿勢があるだけで、仕事のストレスはぐっと減りますよね。
関わる人同士のコミュニケーションも、ギスギスしたものになりにくく、アイディアも生まれやすくなります。
結果として、納得感のあるアウトプットにつながり、より良いものができていきます。
物事に取り組む前に、「どんな前提で進めるか」を一度考えてみる。
それだけでも、仕事の見え方は変わってくるのかもしれません。