2016年に開催された「世界経済フォーラム(ダボス会議)」で、人類が直面する現状を称して「VUCAワールド」という言葉が使われました。今はVUCAの時代だとされていますが、どのような意味なのでしょうか。
VUCAとは
VUCAは「ブーカ」と読みます。1990年代後半に米国で軍事用語として生まれ言葉であり、2010年代にはビジネス用語でも使われ始めました。
4つの単語の頭文字となっています。
Volatility…変動性
Uncertainty…不確実性
Complexity…複雑性
Ambiguity…曖昧性
VUCAの時代とは何を表しているのか
4つのキーワードが選ばれた意味とは何でしょうか。
【変動性】
スマートフォンやSNSの普及、消費者による価値観の多様性、短期間における新しい商品やサービスの登場、変動が激しい状態。先の見通しを立てることが難しい。
【不確実性】
自然災害、気候変動、未知のウィルス、高齢化・少子化、不確実な要素が多く、不安定な状況に対応しなくてはならない。
【複雑性】
国境を越えてモノ・ヒト・サービス・情報が移動するグローバル化が進み、世界で普及する物もあれば、各国の枠組みからでることができない部分もある。習慣や常識の違いにより、ビジネスが複雑化している。
【曖昧性】
過去に事例がない、過去の成功例が通用せず、何が正解かわからない状態。変動性、不確実性、複雑性が組み合わさった状態。
これらをまとめたものが、「VUCAの時代」と言われています。
IT技術の進歩の速さ、未知なるウィルスによる経済ダメージ、世界における各国の対応の違い、温暖化…世界中が今の出来事を予測できず、問題解決にも不確実な対応で戸惑っています。
日本の企業として求められることとは何か
日本の企業も国内で多くの問題に直面しています。VUCAの時代の中で企業に求められていることとは何でしょうか。
人材の確保においては、少子高齢化問題の中で、いつまでも終身雇用制、男女差別、人種差別では企業も成り立たなくなっていきます。ダイバーシティーの考え方、柔軟性・決断力があるリーダーシップが求められます。
最近では、学校教育にも古い慣習にとらわれず、生徒の声に耳を傾ける現場も多くなってきました。
・新しいアイディアでチャレンジ・変化していくこと
・多様性を受け入れられること
・コミュニケーション力
・問題解決能力
・情報収集し、状況判断ができること
企業も人材も求められる能力が一昔前と変わってきています。AIやロボットとの共存により便利な世の中になる一方で、国家間の争い、地球や環境の破壊、行動範囲が宇宙へ向かっていくなど、ますます予測不可能な未来が待っています。
VUCAの時代に生きている中で、企業のビジョンを持ち、個々が自発的に新しいことに学ぶ姿勢を持つように人材育成・教育に取り組む必要があります。
人生100年時代の中で私たち大人は、これからの子供たちと共に仕事をする日も来ます。どのような時代になっていくかわからないからこそ、普段から積極的に学び、視野を広げ、柔軟に行動できるよう意識していきましょう。