日常会話をしているとき、「えっと」「あのー」「そのー」といった言葉を口にすることはありませんか。
これらは「フィラーワード」と呼ばれるもので、日本語だけでなく英語でも「uh」「um」などがよく使われます。
特に人前で話すときや、少し考えながら話すときに自然と口から出てしまうため、多くの人にとって身近な存在です。
一見すると、言葉の詰まりや無意味に思えるこの言葉ですが、実は会話を円滑に進めるための大切な役割を果たしています。
考える時間をつくる「間」の役割
人は話すとき、言葉を選びながら発しています。頭の中で思考と表現を同時に進めるのは意外と難しいものです。
そのため、次の言葉を探す一瞬の間を埋めるために「えっと」や「あのー」が口から出てしまいます。
癖や余計な言葉として捉えられることも多いのですが、沈黙になると気まずく感じる「間」で、フィラーワードを使うと会話の流れを止めずにすみ、聞き手とのリズムを整える役割もあります。
聞き手への合図としてのフィラーワード
もし話の途中で突然沈黙してしまうと、聞き手は「もう話が終わったのかな」と思ってしまうかもしれません。そこで「えっと」と挟むことで、まだ言葉を探している最中だと伝わり、「まだ話が続きますよ」という合図の役割もあります。
特に会議や発表の場では、沈黙よりもフィラーワードを入れた方がスムーズに感じられる場合があります。話し手が落ち着いて考えていることを示すサインとして、フィラーワードを無意識に使っている人も少なくありません。
多すぎると逆効果になることも
「フィラーワード」を検索すると、減らす方法というのが多くあります。フィラーワードを多用しすぎると聞き手に「落ち着きがない」「自信がない」という印象を与えてしまうこともあり、マイナスイメージにもなりかねません。
文章に書き起こしたときに「あのー」が頻繁に出てくると、話の内容が伝わりにくくなってしまいますよね。
特に面接やスピーチの場では、相手に信頼感を持ってもらうことが大切です。そのような状況でフィラーワードが何度も繰り返されると、準備不足、練習不足だと受け取られ、せっかくの内容がかすんでしまうことがあるので注意が必要です。
減らすためにできる工夫
もし「フィラーワードが多い」と感じている人は、少しずつ意識していくことで減らすことができます。自分の話す様子を録音して聞いてみると、自分の口癖、話すスピード、間合いなどがよくわかります。
自分では気づかないうちに、特定の言葉を繰り返していることに驚くかもしれません。
また、話す前に頭の中で要点を整理しておくのもおすすめです。次に何を言うかが分かっていれば、言葉につまる時間が短くなり、フィラーワードの出番も少なくなります。
そして「えっと」と言いたくなったときは、言葉にせず、あえて短い沈黙を受け入れてみるのも一つの方法です。
フィラーワードとの上手な付き合い方
大切なのは、フィラーワードを完全になくすことを目指すのではなく、場面に応じてうまくコントロールすることです。
日常の会話で、無理に抑える必要はありませんが、自分で意識している中で口癖となっている場合は気を付けてみるとよいかもしれません。
面接やスピーチのように「伝わりやすさ」や「信頼感」が重視される場面では、多用せず、つなぎ言葉として使い分けると聞き手も不快にならずにすみます。
「えっと」「あのー」といったフィラーワードは、話し手にとっても聞き手にとっても意味のある存在です。
考える時間をつくり、会話をスムーズに保ち、聞き手に安心感を与える役割を持っています。ただし、必要以上に多くなると、せっかくの内容が伝わりにくくなってしまうため、場面ごとに調整してみてください。