大事な場面に立つとき、「頭の中でシミュレーションしているから大丈夫」と思っていませんか?
ところが、実際にやってみると想像と違って言葉が出てこなかったり、思わぬ質問に答えられなかったりすることがあります。
本番を成功させるためには、頭の中の事前準備だけではなく、「ロールプレイング」です。
ロールプレイングというと、ゲームの話がパッと思いつくかもしれませんが、ここでの意味は本番前に練習として状況を再現することです。
面接や発表、商談、さらには日常のコミュニケーションまで、さまざまな場面で力を発揮するため、事前準備としてぜひやってほしいと思います。
頭で理解しても、体がついてこない
人は「知っていること」と「できること」の間にギャップがあります。
例えば、自転車の乗り方を本で読んで理解しても、いきなり道路で乗れるわけではありません。体を使って何度も練習し、バランスの取り方を身につける必要があります。
話す場面でも同じです。説明の流れや答え方を頭で理解していても、いざ本番になると声が上ずったり、緊張で言葉が詰まったりするものです。そんな経験はありませんか?
ロールプレイングは、この「知っているのにできない」状態をなくすため、本番で大きな差となって表れてきます。
本番を想定するから身につく
ロールプレイングの効果は「実際の場面をできる限り再現する」ことにあります。
たとえば就職の面接なら、相手役を立てて質問してもらい、実際の流れで答えてみる、プレゼンの練習なら、時間を計りながら声を出し、スライドを操作しながら話をしてみるということです。
机の上で考えているだけでは気づかない点が、こうした練習を通して明らかになってくるため、精度が上がっていきます。
「思ったより説明が長すぎる」「ここで資料をめくるのに時間がかかる」といった細かい部分は、やってみないと分からないものです。
自信は「準備」から生まれる
人が緊張するのは「失敗するかもしれない」という不安からです。その不安を減らすには、事前に成功のイメージを積み重ねておくことが欠かせません。
これもただ頭の中だけでのシミュレーションでは意味がありません。ロールプレイングを繰り返すことで「この質問ならこう答えられる」「この説明なら時間内に収まる」と分かり、自信につながります。
自信がある人ほど落ち着いて話せるのは、特別な才能ではなく「準備の量」が違うからです。人の努力は見えにくいものなので、どれくらい準備に時間がかかるかは人それぞれですが、ここに気が付かずにいると、失敗につながりやすくなります。
想定外のことが起きても柔軟に対応できるような余裕を持つためには、練習が必須です。
練習は一人でもできる
「ロールプレイングなんて相手がいないとできない」と思う人もいるかもしれません。もちろん誰かに協力してもらうと効果的ですが、一人でも工夫次第で十分に練習することができます。
例えば、鏡の前で話す様子を確認する、スマホで録音や録画をして見返す、といった方法です。
自分の声や話し方を客観的に聞くと、「思ったより声が小さい」「早口になっている」といった改善点が見つかります。自分の録画なんて最初は恥ずかしいかもしれませんが、回数を重ねるごとに慣れていきます。
練習で得られるのは「安心感」
ロールプレイングの最大の効果は、安心感を持って本番に臨めること。
完璧に同じ状況を再現できなくても、「ここまでは準備してある」という土台があるだけで、心の余裕が大きく違います。
また、練習を通して「自分の弱点」が分かることも重要です。早口になりやすい人は意識してゆっくり話す工夫を、表情が硬い人は笑顔を作る練習を、といったように改善のヒントが見えてきます。
この繰り返しが、本番での自然な振る舞いにつながります。
ロールプレイングは、本番で力を発揮するための一番の近道です。頭で分かっているだけでは足りず、実際にやってみることで初めて自分の言葉や行動が身につきます。
本番に強い人は、生まれつき度胸があるのではなく、十分に練習を積んでいる人です。ロールプレイングを取り入れて、自信を持って次の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。