「御社の強みは何ですか?」という質問にすぐ答えられるでしょうか。
このとき、すらすら答えられる社員は、どれくらいいるのか気になるところですが、現実は、「品質には自信があります」「丁寧な対応を心がけています」「長年の実績があります」……言葉は出てきたとしても、どこかぼんやりしていて、他の会社でも同じことが言えそうな内容になりがちです。
一生懸命考えているのに、言葉にするとありきたりになってしまう。
多くの社員が一度はぶつかる壁かもしれません。
「言葉にできない」のは、強みがないからじゃない
強みが言葉にできないとき、「うちには特別なものがないのかもしれない」と感じてしまう方もいます。
言語化できない理由は、強みがないのではなく、「自分たちにとって当たり前すぎて、強みだと気づいていない」からという理由もあります。
毎日やっていること、自然にやっていることは、意識の外に出てしまい、「これって普通のことじゃないの?」と思っているものの中に、実はお客様にとって大きな価値があることが多いということも。
魚は水の中にいると、水の存在に気づきません。それと同じで、自分たちの強みは、外から見てもらわないと見えにくいものです。
強みは「比較」の中に隠れている
では、どうすれば強みを言葉にできるのか。ひとつの方法は、「比較」を使うことです。
「他の会社と比べて、うちの会社が違うのはどこだろう?」と考えるより、もう少し具体的な問いに変えてみます。
たとえば、「お客様からよく言われる言葉は何か?」「リピートしてくれるお客様は、何を気に入ってくれていると思うか?」「断られることが多いのは、どんな依頼か?」といった質問です。
こういった問いかけをすると、「そういえばよく『レスポンスが早い』と言ってもらえる」「細かい修正にも嫌な顔をしないね、と言われる」という言葉が出てきます。
本人たちには当たり前のことでも、それがお客様にとっての価値になっているわけです。
「当たり前」を疑うと、強みが見えてくる
強みを掘り起こすうえで、もうひとつ有効なのが「なぜそれをやっているのか」を問いかけてみてください。
たとえば、「納品後も1年間サポートしています」という会社があったとします。
本人たちには「それが普通」という感覚かもしれません。
でも、「なぜそうしているのですか?」と聞いてみると、「お客様が困ったときに、すぐ動けないのが嫌だから」という答えが返ってくることがあります。
この「なぜ」の部分こそが、その会社の姿勢や価値観を表しているのではないでしょうか。
「1年間サポート」という事実よりも、「困ったときにすぐ動く」という姿勢のほうが、お客様の心に届きやすい言葉になります。
行動の背景にある「思い」や「こだわり」を言葉にすることが、強みの言語化につながっていきます。
「誰のための強みか」を意識する
強みを言葉にするとき、もうひとつ大切な視点があります。それは「誰に伝えるか」ということです。
同じ強みでも、伝える相手によって言い方は変わります。
たとえば、「スピードが早い」という強みがあったとして、忙しい経営者に伝えるなら「依頼から最短2週間で公開できます」という言葉になります。
一方で、初めてホームページを作る個人事業主に伝えるなら「わからないことがあっても、すぐに相談できます」という言い方のほうが響くかもしれません。
強みそのものは同じでも、受け手によって「刺さる言葉」は違います。
誰に届けたいのかを意識することで、言葉の精度がぐっと上がります。
ちょっとしたことですが、意識してみると見えてくることもありますね。
Web制作の現場で、強みの言語化を手伝うということ
私たちのようなWeb制作の仕事では、お客様の強みを言葉にする作業が、実はサイト制作の核心にあります。
デザインや構成を考える前に「この会社は何者で、誰に何を伝えたいのか」が明確でないと、見た目だけ整ったサイトになってしまいます。
ヒアリングの中で「それ、すごく大事なことですよ」と伝えると、「え、そんな当たり前のことが?」と驚かれることがよくあります。
でも、その「当たり前」が、サイトを見た人の背中を押す言葉になることがあります。
強みの言語化は、サイトのコンテンツを作るためだけでなく、会社自身が「自分たちは何をしている会社なのか」を整理するきっかけにもなります。
言葉にできると、発信がぶれなくなる
強みが言語化されると、いいことが連鎖的に起きます。
ホームページの言葉がはっきりする。SNSで何を発信すればいいかがわかる。営業のときに何を話せばいいかも見えてくる。採用のときに、どんな人に来てほしいかも伝えやすくなる。
逆に言うと、強みが言葉になっていないと、あらゆる発信がぼんやりしてしまいます。
何を見ても「いい会社そうだけど、何がいいのかよくわからない」という印象になりやすいです。
まず「お客様に言われた言葉」を集めることから始めてみる
強みの言語化は、難しく考えなくても始めることができます。
まず手軽にできるのは、お客様からもらった言葉を集めること。
お礼のメール、アンケートの回答、口頭で言ってもらった一言。
そういった言葉の中に、自分たちでは気づいていない強みが眠っていることがあります。
「ありがとう」の言葉の、もう一歩先にある理由を拾い集めていくと、自分たちの会社が大切にしていることが、少しずつ見えてきます。
それが、言葉にできなかった強みの正体なのではないでしょうか。