「なんとなく始めて、なんとなく続けている」ことが、ビジネスの中に意外とたくさん潜んでいます。
毎月送っているニュースレター、何年も同じ形式の提案書、惰性で続けているSNSの更新、ずっと変えていない料金設定……やめる理由もないし、続ける強い理由もないけれど、なんとなくそのまま。
そういうものが、気づかないうちに積み上がっていきます。
一見すると「安定している」ように見えるんですよね。毎日同じように動いていて、大きなトラブルもなく、仕事も一応回っている。
でも、「なんとなく続けている」状態が一番危ないのは、問題があっても気づきにくいからです。
何かが少しずつズレていても、現状維持の惰性の中ではそのズレがなかなか表面に出てきません。
「続けていること」と「機能していること」は別の話
少し立ち止まって考えてほしいのですが、「続けていること」と「ちゃんと機能していること」は、まったく別の話です。
たとえば毎週投稿しているSNS。続けていること自体は素晴らしいですが、その投稿が誰かに届いているか、問い合わせや信頼につながっているか、となると話は別です。
毎月開いている会議も、「集まること」が目的になってしまって、何も決まらずに終わることが習慣化していたりします。
「続けている=意味がある」という思い込みは、かなり根強いです。
時間とエネルギーをかけているものほど「これは必要なはずだ」と感じやすくなりますが、冷静に見るとただ回っているだけで成果にはまったくつながっていない、ということが起きています。
続けることに安心してしまって、「本当に機能しているか」を確認する習慣がなくなっているんです。
「なんとなく」が積み重なると、身動きが取れなくなる
なんとなく続けているものが増えると、もう一つ困ったことが起きます。
時間とエネルギーが少しずつそこに吸い取られていくことです。
一つひとつは大したことなくても、「なんとなく続けていること」が5つ、10と積み重なると、気づけばそれだけでかなりの量になります。
その結果、本当にやりたいこと・やるべきことに使えるエネルギーが残っていないという状況が生まれて、「忙しいのに何も変わっていない」という感覚の正体は、多くの場合これです。
新しいことを始めたいけど時間がない、サービスをリニューアルしたいけど手が回らない、もっとお客さんと向き合う時間がほしいけど余裕がない。
その「なさ」の原因を辿っていくと、「なんとなく続けている何か」にたどり着くことが多いんですよね。
定期的に「なぜやっているか」を問い直す
では、どうすればいいか。答えはシンプルで、定期的に「なぜこれをやっているのか」を問い直す習慣を持つことです。
やり方は難しくありません。たとえば3ヶ月に一度、自分がやっていることをリストアップして、一つひとつに「これは今も必要か?」と問いかけてみるだけです。
そのときに「なんとなく続けているから」以外の理由が出てこないものは、いったん立ち止まるサインです。
「やめたら何が困るか」を具体的に考えてみると、意外と「実はそんなに困らない」と気づくことがあります。
逆に「やめたら絶対に困る」と即答できるものは、本当に必要なことです。
この仕分けをするだけで、自分のビジネスの優先順位がずいぶんクリアに見えてきます。
変化しないことが、一番のリスクになる時代
少し大きな話をすると、ビジネスを取り巻く環境は以前と比べてかなり速いスピードで変わっています。
お客さんの行動も、使われるツールも、情報の届け方も、数年前とはずいぶん違います。
そういう時代に「なんとなく続けている」ことの怖さは、気づいたときにはもう遅いというケースがあることです。
じわじわと時代に合わなくなっていても、続けていること自体に慣れてしまっているから違和感を感じにくい。
そして気づいたときには、競合他社がずいぶん先に行っていた、ということが起きます。
変化することにはエネルギーが要りますし、慣れたやり方を変えるのは心理的にも手間的にも負担です。
でも、変化しないことのリスクが変化することのコストを上回っているなら、動かない理由はありません。
「なんとなく続けている」状態は、安定ではなく、じわじわとした停滞なんだということに気が付くことが大事です。
HPやSNSも「なんとなく」になっていないか
何年も前に作ったホームページを、ほとんど更新しないまま使い続けているケースは、実はとても多いです。
サービス内容が変わっていても、料金が変わっていても、担当者が変わっていても、HPだけが当時のままになっている。
これも「なんとなく続けている」の典型です。HPは作って終わりではなく、今の自分たちを正しく伝えるために育てていくものですし、古い情報が載ったままのHPは信頼を積み上げるどころか、「この会社、ちゃんと動いているのかな」という不安を与えてしまうこともあります。
SNSも同じで、「とりあえず更新している」だけになっていないか、たまに見直すことが大切です。
何のために発信しているのか、誰に届けたいのか、そこが曖昧なまま続けていても、時間だけが過ぎていきます。
「なんとなく」に気づいた瞬間が、チャンス
「なんとなく続けていた」と気づいた瞬間は、実はビジネスを見直す絶好のタイミングです。
何かをやめると、そこに空いたスペースに新しいことが入ってきます。
惰性で続けていた作業をやめたら時間ができた、ずっと続けていたサービスを整理したら本当にやりたい仕事が増えた、という話はよく聞きますし、「なんとなく」を手放すことは、次のステップに進むための準備でもあります。
忙しい日々の中で立ち止まり、「これって本当に必要か?」と問い直す時間を取ることは、簡単ではありません。
でも、その問いから逃げ続けていると、ずっと同じところをぐるぐると回り続けることになります。
なんとなく続けていることに気づいたなら、それを見直す勇気を持つことが、ビジネスを前に進める一番の近道になるかもしれませんね。