「自分は叱られたことでメンタルが強くなった」「叱らなければ善し悪しがわからない」と、自分の経験を善として他人にも強要しようとする人がいます。
その時代背景、家庭環境、自身の性格などがあってこそ、今の自分があるのかもしれませんが、人は皆違うということを完全に無視した言い分でもあります。
さらに子育てにおいても虐待としつけの境界線が昔と異なったり、社内でも指導がパワハラと受け取られ、コミュニケーションが取りにくくなったという面もあり、自分が「叱る」「叱られる」の体験が当てはまらずに困惑している話もよく聞きます。
「叱る」にはデメリットしかないとまで言われています。では、叱らずにすむ回避方法はあるのでしょうか。
叱ることによって関係や環境に悪影響を及ぼすことを避け、相手に伝えたい場合は「言い換え」が効果的な方法です。
叱ることのデメリット
「叱る」は相手の非を指摘、説明し、きびしく注意を与える意味であり、口調は強くあったとしても心の底から腹が立って「怒る」とは異なります。
叱る側は「あなたのため」と一方的に思っていたとしても、実際はデメリットのほうが多くあげられています。
・叱られたことで傷つき、避けるようになる
・叱られて恥ずかしい、ストレス、不快感などの気持ちから雰囲気が悪化し、コミュニケーションがとりづらくなる
・自分の能力に自信をなくす
・相手に攻撃されたと感じ、反発する
・その場から逃げたいと感じ、隠し事をするようになる
・頑張るエネルギーを失う
このように「叱ることによって、関係が悪化しやすい原因を自ら作ってしまう可能性がある」ということを知っておかなければ、自分の立場が危うくなってしまうことにもなりかねません。
叱る側はそこまで考えていないことが多く、良かれと思って相手にしていたことが、ブーメランになって跳ね返ってくる…そう思うと、何も相手に言えなくなってしまいますよね。
叱る、怒るではなく、言い換えで伝える
乱暴な言葉、威圧的な態度で相手を動かせるわけではありません。恐怖で支配したところで、よりよい関係にもなりませんし、自分が害となってしまいます。
だからといって、ほめてばかりいても相手に誤解を与えてしまいますし、悪いところは指摘したい…そんな時は「言い換え」が有効です。
例えば、「なぜいつも遅刻するのか?何度も注意しているはず」と相手を責める言い方はNGです。
「遅れることが何回か続いているけれど、理由があるのかな?時間について聞いてもいいかな?」と、立場や考えを尊重しながら話を聞き、問題や改善点を伝え、考えていく方法が「言い換え」です。
相手が子どもではなく大人だからといって、「当たり前でしょ」「できないでどうするんだ」「そんなことも知らないのか」と上からバカにするような言い方ではなく、言葉や声のトーン、周囲の環境なども考えて場所を選んで伝えることです。
叱った相手だけでなく、周囲も叱る側の態度を見ています。時代とともに様々なことが変化していますが、いつまでも自分を貫き通すばかりでなく、叱り方があることを踏まえ、心当たりがあれば少し意識してみてください。