小学生のころ、毎日の宿題にあった「音読」ですが、子供心に「面倒くさい」「毎日同じところばかりを繰り返す」と思っていた方も多いのではないでしょうか。先生や大人は、なぜ音読をやらせたがっていたのでしょうか。それは人間の脳を活性化させるために有効な方法だったからです。
今や、幼稚園児から音読にチャレンジする家庭も増えてきたようですが、音読をすることは大人、年齢を重ねてからも脳にとって刺激があります。
音読は2種類の言葉を使い分けている
言葉には二種類あり、書かれている「文字ことば」と声で伝える「しゃべりことば」です。両方とも日常生活で使い分けていますが、人間の能力の中でも視覚と聴覚を同時に活用しているのが音読です。
文字ことばは、視覚から入り、手を動かして書くことによって外へアウトプットします。他の動物は文字を使って伝達することはしませんね。
しゃべりことばは、発声することで外に出し、耳で聞くという聴覚が使われます。
音読をするということは、視覚から文字ことばを読み、ことばを発し、聴覚でしゃべりことばを聞くという両方のしくみを活用しています。
音読するパターンによっても脳が活性化される場所が違う
初めて読む文章や、すんなり読むことができない難しい文章を音読する時は、脳の前頭葉が使われ、学力、頭の良さにつながると考えられています。
しかし、何度も同じ文章を読んでいると刺激がなくなり、前頭葉が働かなくなります。そこで、気持ちを込めた読み方を意識していくと、大脳辺縁系が活性化されるため、表現力がアップします。
さらにレベルアップをさせて、相手の気持ち、文章の世界を考えながら音読すると、側頭頭頂接合部が活性化されます。
音読のやりかた次第で、使われる脳が異なってくるため、繰り返し同じ文章を読むとしても様々な部分の脳を活性化させることができるんですね。
音読のメリット
大人になってからの音読も注目されています。語彙力、コミュニケーション力、発声、表現力がアップ、声にだすことで内容を理解する、記憶に残りやすい、ストレス解消効果がある・・・、年齢に関係なく音読は有効とされています。医学的にも、のどの筋肉を自然に鍛えるため、誤嚥性肺炎の予防にもなります。
ただ文字を目で見て声に変換して音読をしているだけ、内容を何も考えずに音読しているだけでは何の意味もありません。
小学校の宿題でも、音読のチェック項目に「気持ちをこめたか」「読むスピードを意識したか」「声の大きさ」があります。
1日10分以上続けることで、脳の刺激があるそうですが、長続きさせるためにも、少しずつ簡単な文章、短い文章から音読をスタートしてみてはいかがでしょうか。