「ちゃんと説明したつもりだったのに、なぜか伝わっていなかった」
仕事をしていると、そんな場面に出会うことがあります。
会議で丁寧に話した内容が誤って理解されていたり、メールに細かく書いたつもりでも意図とは違う受け取り方をされたり。
一方で、同じ説明でも、ちょっとした会話だけですぐに理解してくれる人もいます。
この差を、「相手の理解力の問題だ」と考えたくなることもあるかもしれませんが、 説明する側の伝え方が影響していることも多いように感じます。
「伝えた」と「伝わった」は別の出来事
説明する側は「ここまで言えばわかってくれるだろう、必要な情報はすべて伝えた」と考えがちです。
ただ、相手がその内容をきちんと理解できているかどうかは別の話。
例えば、海外旅行に慣れている人が初心者に向けて準備の流れを説明するとします。
パスポート、航空券、入国手続きなど、経験者にとっては当たり前の言葉でも、初めての人には聞き慣れないものばかりかもしれません。
説明した側は「伝えた」と思っていても、相手が「受け取れた」とは限らない。
このズレまで想像しないと、コミュニケーションのすれ違いを生み、誤解を招いたり、ミスにつながってしまうことになります。
専門用語という見えない壁
Webの仕事にも、専門用語が数多く登場します。
同業者同士なら一言で済む会話も、お客様には伝わらないことが珍しくありません。
「SSL化」「レスポンシブ対応」「CMSで更新できる」といった言葉も、普段触れない方からすると、雰囲気だけで理解したつもりになってしまうことがあります。
専門用語は仕事を効率よく進めるための便利な道具ですが、相手によっては壁にもなります。
説明する側が当たり前のように使っている言葉ほど、少し注意が必要なのかもしれません。
どの業界にも専門用語があり、説明する側は自然に使っていても、聞く側は「話を中断するのも悪いな」「後で調べよう」「なんとなくわかるから聞き返さなくてもいいかな」と、途中で理解をあきらめてしまうこともあります。
その結果、「なんとなくわかった気がする」という曖昧な状態のまま話が進んでしまうこともあります。
この“なんとなく”が積み重なると、後から大きな誤解につながってしまうんですね。
相手は自分と同じ知識を持っていない
説明が上手な人ほど、相手との知識の差を意識しています。
自分にとって簡単なことでも、相手にとっては難しい場合があります。
逆の立場を想像するとわかりやすいかもしれません。
自動車整備士から修理内容を細かく説明されても、専門知識がなければ理解できない部分が出てきます。
税理士や弁護士の話を聞くときも同じです。
専門家にとっては基本的な内容でも、一般の人には初めて聞く言葉が多いもの。
だからこそ、「この人はどこまで知っているだろう」と考える視点があるだけで、伝え方は大きく変わります。
相手目線に立つと説明はぐっと伝わりやすくなる
伝わる説明には共通点があります。そのひとつが、相手目線で話していることです。
自分が伝えたい順番ではなく、相手が知りたい順番で話す。
専門用語を減らして、身近な例を使う。
必要に応じて、わかりやすく言い換える。
こうした工夫があるだけで、理解のしやすさは大きく変わります。
商品説明でも、機能を並べてアピールするだけではイメージが湧きにくいものです。
「この商品を使うと何が楽になるのか」「どんな場面で役に立つのか」を追加するだけで、相手の受け取り方は変わります。
相手が知りたいのは情報そのものだけではなく、「それが自分にとってどう役立つのか」ということなのかもしれません。
説明はキャッチボールに近い
説明は一方的に話して、「はい、終了」ということではなく、相手の反応を見ながら進めるキャッチボールに近いかもしれませんね。
うなずいているから理解しているとは限らない、質問がないから問題ないとも言い切れません。
相手がどのように受け取っているのかを確認しながら進めることで、誤解は減っていくものです。
学校の授業でも経験があるかもしれませんが、よくわかっていないときほど、何を質問すればよいのかさえわからない・・・。
伝える力は、話す力だけではなく、相手を理解する力でもあります。
伝わる説明は相手への想像力から生まれる
同じ説明をしても伝わる人と伝わらない人がいるのは、相手の知識や経験、置かれている状況がそれぞれ違うからです。
伝える側は、「一度説明したから終わり」ではなく、「どうすれば理解しやすいだろう」と考える姿勢が大切になります。
専門用語を減らす。
相手の立場で考える。
知識の差を意識する。
こうした小さな工夫の積み重ねが、伝わるコミュニケーションにつながります。
伝えることよりも、伝わること。
「これで伝わるかな?」と一度立ち止まって考えてみるだけでも、コミュニケーションはずいぶん変わるかもしれません。