就職採用の合否連絡は、企業と応募者の信頼関係を築く上で非常に重要なプロセスです。とくに新卒採用では、応募者にとって「初めて社会と接する機会」であり、その対応の丁寧さや誠実さが、企業の印象を大きく左右します。
近年ではSNSや口コミサイトの普及により、合否連絡の対応ひとつが企業イメージに直結するケースも少なくありません。
新卒採用でのトラブル
新卒採用では選考フローが長期にわたることが多く、エントリーシート、試験、面接など複数の段階があります。
説明会や面接ではオンライン化が増えてはいるものの、スケジューリング調整はなかなか大変です。そのなかで、応募者は時間や労力、希望をかけて参加しています。
企業によって試験や面接の順番や回数が様々ですが、合否結果を伝えない企業もあり、「合否連絡がこない」「いつまで待てばいいのかわからない」「もしかしてメールや連絡を見落としてしまったのかも」といった不安を抱える学生もいます。
企業側が気を付けること
たとえ不採用であっても、きちんと結果を伝えることが最低限のマナーであり、社会的責任でもあります。
企業側の立場でまず気を付けることは「合否の連絡期限を明確にする」です。
募集要項や面接時に「○月○日までにご連絡します」と伝えるだけで、応募者の不安は大きく軽減されます。そして、その約束を守ることが最も大切です。
やむを得ず遅れる場合も、その旨を事前にメール等で連絡すれば、誠実な企業姿勢として受け取られます。
また、最近は「サイレントお祈り(不採用者に連絡がこない)」という言葉も生まれているほど、連絡の欠如が問題になっています。
大量応募の中で、すべての連絡対応を手作業で行うのは手間がかかる、応募者からの不採用理由の問い合わせに対応できないなど、企業側の言い分もあるようですが、結果をお知らせしない、告知しない態度は不誠実に感じられます。
内定後の対応も丁寧に
さらに、内定通知を出したあとも、連絡の取り方には慎重さが求められます。
口頭だけの内定では誤解やトラブルの元となりやすいため、必ず書面や正式な文書で通知し、入社に関する条件を明示することが重要です。
「言った・言わない」などの行き違いを防ぐためにも、文書化は必須です。
合否連絡という一見シンプルな業務の中に、企業の姿勢や価値観がにじみ出ていることを採用担当者は気を付けなければいけません。
丁寧に対応した結果、不採用となった応募者から「次の機会にまた挑戦したい」と言ってもらえることもありますし、逆にぞんざいな対応が原因で、内定辞退や悪い評判に繋がることもあります。
採用は、企業にとっても応募者にとっても大切な「出会いの場」です。その入り口を誠実に整えることは、未来の組織づくりの第一歩となります。
すべての応募者を「大切な来訪者」として扱う視点を常に忘れずにいたいものです。