Web制作をする際、迷いがちなのが「カラーイメージ」です。
「うちのコーポレートカラーは青だから、青ベースでお願いします」と、そのまま決めてしまうケースもよくあります。
もちろん企業のイメージカラーを大切にすることは重要ですが、それだけでWebサイト全体の色を決めてしまうのは、非常にもったいない話です。
なぜなら、Webサイトにおける“色”は単なる装飾ではなく、企業の印象を左右すること、ユーザーの行動に影響することがあるからです。
色選びを間違えると、どんなに優れたサービスや商品でも、その魅力がユーザーに正しく伝わらず、結果的にビジネスチャンスを逃してしまうこともあり得ます。
色には「心理効果」と「文化的背景」がある
色には人の心理に影響を与える効果があります。
例えば「青」は日本では誠実さや信頼感を与える色として、多くの企業サイトで使われています。
しかし、青が与える印象は国や地域によって異なり、グローバル展開を考えている場合、もしくは今後可能性がある場合、こうした文化的背景への配慮も必要だということを知っておいてほしいと思います。
また、色の心理効果は業種によっても注意が必要です。
たとえば、飲食店のWebサイトで青を基調にすると、食欲を減退させてしまい、逆効果になる場合もあります。
その一方で「赤」や「オレンジ」は食欲を刺激する色として、飲食系のサイトでよく使われています。
このように、Webサイトのカラーは“好き嫌い”で選ぶのではなく、「誰に、どんな印象を持ってもらうか」を考えて選ぶことを意識し、他者のサイトを参考にし、傾向を知ることをおすすめします。
トレンドだけを追いすぎる危険性
最近のWebデザインでは、くすみカラーやニュートラルカラー(グレーやベージュ系)を使った、落ち着いたミニマルデザインが人気です。
確かに、洗練された印象を与える効果がありますが、業種やターゲット層によっては逆効果になることもあります。
例えば、若年層向けのアパレルECサイトで、あまりにも落ち着いた色味を使うと、商品自体が地味に見えてしまい、購買意欲を下げてしまうことも。
逆に、法律事務所や医療機関のサイトでビビッドな原色を多用すると、信頼性を損ね、軽薄な印象を与えかねません。
大切なのは、「流行っているから」「おしゃれに見えるから」という理由だけで色を決めてしまわないことです。
色は“感覚”ではなく“設計”する
よく「社長が好きな色だから」「会社のロゴがこの色だから」といった理由で色を指定されることがあります。もちろん、その意向も大切です。
しかし、色選びは単なるデザインだけではなく、ブランド戦略の一環として考えてみてください。
Webサイトの色は、「好み」や「流行」で決めるものではなく、企業のビジネス目標やターゲット戦略と連動させて設計する時代です。
適切な色選びは、ユーザーに安心感や信頼感を与え、問い合わせや購入といった行動につながります。
だからこそ、色選びにももっと戦略的な目線を持ちながら検討を重ねてWebサイトのカラー決めをしてほしいと思います。